現実味を帯びる
エバーグランデなどのデフォルト

 エバーグランデなどのデフォルトが現実味を帯び始めた。10月に入り中国の不動産業界では、エバーグランデなどが発行してきたドル建て社債などの元利金の支払い遅延が日増しに増加している。エバーグランデは、9月23日、29日に続き、10月11日のドル建て社債の利払いも実施できなかった。

 加えて、当代置業(モダン・ランド・チャイナ)が、10月25日のドル建て社債の償還を延期するよう投資家に要請した。中国共産党政権が不動産への投機抑制のために導入した「3つのレッドライン」によって、これまで借り入れを増やして投資を実行してきた不動産デベロッパーの資金繰りは一段と悪化している。

 共産党政権は、経営問題を抱えるデベロッパーなどへの救済にかなり慎重な姿勢を維持している。例えば9月下旬、融創中国(サナック)が浙江省紹興市当局に支援を求めたと報じられた(会社側は後に否定した)。中国の不動産業界では、資金繰りの悪化、住宅価格の下落などによって、事業継続が困難になる企業が増加している。それでも、共産党政権はデベロッパーへの公的資金注入を行っていない。

 過去、世界各国で起きたバブル崩壊の事例では、まず不動産業界で資金繰りに行き詰まる企業が増え、本格的なデフォルトが発生する。そして不動産デベロッパーは、資産の売却によって債務の返済を行おうとするが、一方で急速に不動産などの価格が下落して不良債権が増える。その結果、債務再編や経営破綻に追い込まれる企業が増え、金融システムにストレスがかかる恐れがある。