筆者は今年、インフレと債券利回り上昇という「双子の脅威」に関する議論に多くの時間を費やしてきた。これにエネルギー価格の急上昇とクリスマスを脅かしている物不足を加えると、ひどいことばかりのような気もしてくる。だがその一方で、20年にわたる生産性の低迷は終わりが近いという強気シナリオが浮上しつつある。基本的なシナリオは、企業が投資を再開し、設備投資の増加が生産性を速やかに上昇させるというものだ。過去2回の景気サイクルではIT(情報技術)バブル後の警戒感と2008年の金融危機後の信用収縮が投資の足かせとなったが、そうした逆風はもうやんでいる。また、賃金が急上昇し、企業から人員確保が難しいとの声が上がっているように、労働力はもはや安くはないため、企業には投資に資金を振り向ける強い動機が生まれている。