何かアングラな“おトク”に引っかかっていなかったか?

 さて、2021年現在までのところ、フェイクウイルスサイトの見破り方は、ここまで挙げてきた事柄に注意していけば、さほど難しいものではない。ただ、今後は巧妙になっていくことも考えられる。

 ところで、もし「フェイクウイルスサイトに出くわしたことがある」という人がいたら、質問したいことがある。あなたの行動には、こうした詐欺を招きやすい、ちょっとした「スキ」はなかっただろうか?もしかしたら、こんな行動をとっていなかっただろうか?

 たとえば、「無料で最新のiPhoneが手に入る」とか。または、アニメ番組を検索しようとして、公式の番組サイトではなく「無料配信」「裏配信」が見られるとか……そんなキーワードや文章を、興味本位でクリックしていなかっただろうか?

 解説すると、日本で放送している深夜アニメなどは、海外のマニアもリアルタイムで見たがっている場合が多い。しかし、公式には日本国内でしか放送・配信されないので、「Torrent」という分散配信の仕組みを悪用し、放映された録画データを海外からも見られるように流通させていることがある。そのため、たとえば「“新作アニメのタイトル”+Torrent」などで検索すると、海外のマニアたちのための配信サイトにたどり着くことがある。こうしたサイトには、フェイクウイルスサイトがセットで仕掛けられていることがあるのだ。

(左)最新のiPhoneが手に入る! そんなサイトをクリックして、次に現れたのはフェイクウイルスサイトだった。(右)「torrent」「darkweb」など、アングラ系の用語が出てくるようなサイトも要注意。あなたは他のキーワードで探しているつもりでも、そこは危険なサイトかもしれない…… Photo by Satoshi Yamato(左)最新のiPhoneが手に入る! そんなサイトをクリックして、次に現れたのはフェイクウイルスサイトだった。(右)「torrent」「darkweb」など、アングラ系の用語が出てくるようなサイトも要注意。あなたは他のキーワードで探しているつもりでも、そこは危険なサイトかもしれない…… Photo by Satoshi Yamato

 フェイクウイルスサイトは、不思議と「あなたの欲望を、本来の対価を払わずに満たせるよ」という誘い文句の次にやってくることが多い。非常識なくらいの“おトク”や“アングラ”情報には、“だまし”もセットで付いてくる。近寄らないのが一番だが、もし「やられた!」と思ったら、まずは落ち着いて表示された文章をよく読んでみてほしい。