フェイクウイルスサイトは、なぜこんなことをするのか

 フェイクウイルスサイトは、何が狙いでこのようなことをするのだろうか?

 昔は単なるイタズラもあったが、現代では、多くの場合が金目当てだ。だまされた人に、価格の高い(場合によっては効果もない)アプリを売りつけるケースが多い。

 たとえば、先ほどの例でiPhone向けに「Apple Security」をかたっていたサイトの場合。画面に表示された指示に従って「推奨されるAdBlocker(編注:広告をブロックするアプリ)とウイルス対策ツールをインストール」するよう、「ウイルスを削除」ボタンを押すとどうなるか?

 このサイトの場合は、AppStore(アップルの公式アプリストア)に誘導され、「VPN App MasterProxy by VeePN」というアプリのインストール画面に進んだ。

 このアプリは、名前の上ではVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)、つまり、特定の経路上で通信を行うので、他の利用者などにのぞき見・データ改ざんなどがされなくなる、というソフトウエアだ。本当に「のぞき・改ざん」ができない通信を行えるのかという機能面も疑問だし、さらに問題なのは、その料金だ。

サギサイト誘導先のアプリ。VPNアプリらしい Photo by Satoshi Yamatoサギサイト誘導先のアプリ。VPNアプリらしい Photo by Satoshi Yamato

 このアプリの場合「3日間のフリートライアルの後、1週間(9.90ドル)、1年(69.90ドル)、および5年(99.90ドル)」のいずれかで課金されるとしている。つまり指示を信じて、言われるままにアプリをインストールしてしまうと、4日後から毎年8000円近くが徴収されてしまうことになるわけだ。