この場合、対処方法として正しいのは、まず「疑う」である。なぜなら、iPhoneには「Apple Security」という名前でウイルス感染を表示する機能はないからだ。アップルが公式にそのような機能を搭載したこともない。

 焦るかもしれないが、まずは落ち着いてよく文面を読んでほしい。ウイルスがバッテリーに感染するというのは、どういう状況なのだろうか? コンピューターウイルスはプログラムなので、データを破壊する、写真を転送するといったことはできるかもしれないが、バッテリーやSIMカードといったハードウエアを破壊することは難しい。相手は、これを見た人をパニックに陥れようとして、状況を大げさに(あるいはウソを)言い立ててはいないだろうか?

 答えを言うと、これは実際にはウイルスがいないにもかかわらず「感染している!」とウソをついているWebページだ。「フェイクウイルスサイト」などと呼ばれている。

「フェイクウイルスサイト」に出合ったらどうしたらいい?

 フェイクウイルスサイトは、このようにもっともらしい偽の表示をして、ユーザーの不安をあおる、偽の警告サイトである。フェイクウイルスサイトに出合った場合、具体的にはどうすればいいのだろうか?

 もしこうした画面が表示されたら、そのページを閉じてしまえば、被害が及ぶことはまずない。単に脅しが表示されているだけなので、無視して、ブラウザの表示を閉じる。これで全て終わりだ。

 筆者の見たところでは、標的としてはiPhone向けが最も数も種類も多いようだ。iPhone向けの場合、

・お使いのiPhoneが○個のウイルスにより深刻なダメージを受けています。
・iPhoneのSIMカードが破損し、連絡先、写真、データ、アプリケーションなどがダメージを受けます。
・今すぐウイルスを除去しないと、iPhoneが深刻なダメージを受ける原因になります。
・直ちに解決しない場合、ウイルスにより携帯電話はクラッシュし、SIMカードは破損し、全ての連絡先が削除されます。
・必ず対策を行って下さい! パスワードが危険です。
・ハッカーに追跡されています!

 というようなメッセージが表示される。