米国では新型コロナウイルスワクチンの義務化に向けた動きが広がっていることに対し、憲法上の権利を侵害しているとして、看護師から消防士、学生までさまざまな人々が訴訟を起こしている。だが、これまでのところ、訴えはほぼすべて退けられている。数多くの州で医療関係者、公務員、州立大学の学生、政府請負業者などに課されているワクチン接種の義務化を巡り、判事はこれまで宗教上の問題を理由とする限定的な例外を除き、圧倒的に義務づけを支持する立場を示している。こうした司法判断を受けて、州は接種を拒否する職員を解雇できる状況にある。米国ではこれまでに20以上の州や数十の都市がコロナ封じ込めに向けてワクチン接種を義務づけた。義務化の主要な法的根拠となっているのが、1世紀前にマサチューセッツ州で天然痘流行を受けて出されたワクチン義務化を認めた連邦最高裁の判断だ。最高裁は当時、公衆衛生が重大な危機にさらされている場合に、州が広範な権限を持つことを認めた。
コロナワクチン拒否の訴え、米司法判断は冷ややか
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