職場で「見て学ぶ」機会が減り
仕事での「新たな挑戦」が難しかった1年
2020年は、新型コロナウイルス感染症のまん延防止のために外出自粛が求められました。それを受けて、デスクワーカーを中心にテレワークを実施する企業が急増し、対面による業務遂行の機会が減りました。
テレワークは対面よりもコミュニケーション不足が起こりやすく、また業務上での認識違いやタイムラグも引き起こしやすいです。そのため、各自の判断で進められるように、通常よりも業務の幅を狭めるケースが多かったと考えられます。
また、外出自粛や時短・休業要請によって、これまでの業務をテレワーク環境でいかに進めるかに注力せざるを得なくなり、仕事での新たな挑戦も難しかったでしょう。そうしたことを受けて、仕事における学び全体の減少につながったと考えられます。
人生100年時代においては、「若者から高齢者まで、全ての人に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくることが重要な課題」となっています(「人生100年時代構想会議中間報告」より引用)。そのためには、「人々が何歳になっても必要な能力やスキルを身に付けることが重要」であり、政府や企業の働きかけに加え、個人も自律的に学びを継続していくことが望ましいです。
個人の自発的な学びを表すIndicatorIV-4「自ら学んでいる(自己啓発)」を見ると、2020年は26.1ptと前年から1.0pt低下しています(図表2参照)。企業によって提供される学び機会であるOJTやOff-JTの減少に伴い、自ら学ぶ人も減少しているというのは、働く人にとっての自発的な学びがいまだ外部からの働きかけによって起こっていること(他律的)であり、自ら進んで学ぶ(自律的)という意識が十分に根付いていない可能性を示します。
前述したように、労働時間が減っても自ら学ぶ人が増えるわけではありません(図表1参照)。働き方改革の推進によって労働時間は縮減し、休暇取得も拡充しました。しかし時間ができても、それだけでは個人の自律的な学びには結びつきません。