個人の自発的な学びを
促進するために必要な2つのこと

 個人に自律的な学び習慣を定着させるためには、何が必要でしょうか。2018年の報告書では、学び続けることへのインセンティブとして、「何を学ぶべきかわかっている」ことと「学んだことを役立てる場がある」ことの2つが重要だと示しています。

 人生100年時代の到来とともに職業人生が長くなっていく中で、これからは新しいことを常に学び続け、キャリアを転換させていく必要があります。そのために必要なことがわかれば、自ずと学び続けるのではないでしょうか。

 また、新たなスキルの取得は、仕事の幅を広げることにつながります。新たな「学び機会」との出会いももたらしてくれるでしょう。学んだことを役立てる場をつくることは、学び始めた人が学び続けるための原動力になります。

 2020年は対面からオンラインへの過渡期ともいえる1年でした。オンライン学習コンテンツは急増し、これまで以上に学びの環境は整いつつあるといえます。次に必要なのは、自分に必要な学びを知ること、そして企業による個人が学びを活かせる場を提供することではないでしょうか。

働き方のさらなる進化のために
「可視化」し続けることが大事

 これまで3回にわたって、2016年から2020年までの日本の働き方の変遷を見てきました。総合的に見ると、日本の働き方はこの5年で前進しています。働き方改革によって確かに進化した点もあれば、新たに表出した課題もあります。ウィズコロナもしくはアフターコロナにおいて、よりよい働き方を目指すためには、働き方をさらに進化させ、顕在化した課題をひとつずつ解決していくことが求められます。

 これから人々の働き方は、どのように変わっていくのでしょうか。リクルートワークス研究所では、1人ひとりが生き生きと働ける次世代社会へと進化し続けることに期待し、組織や人のよりよい未来を生み出せるよう、今後も働き方の指標「Works Index」を用いて、日本の働き方を可視化し、発信していきます。

※本連載内で解説していない「進化2」「進化3」「課題3」および2020年の各Indexの詳細については、報告書「Works Index 2020」でご覧いただけます。また、3つの進化と3つの課題に関する解説動画コラム記事も配信しております。

(リクルートワークス研究所 研究員/アナリスト 孫 亜文)