日本人の「働き方」は本当に変わったのか?5年の成果と課題を徹底検証あ働き方改革によって、人々の働き方は果たして望ましい方向に進んでいるのだろうか。独自の指標で成果と課題を探る(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 2016年から2020年までを振り返ってみれば、働く個人を取り巻く環境にはさまざまな動きがありました。

 最も大きな動きといえば「働き方改革」でしょう。2016年9月に、安部前政権の主導で「一億総活躍社会」の実現を目的とした「働き方改革実現会議」が発足し、翌2017年3月には「働き方改革実行計画」が発表されました。2018年には時間外労働の上限規制の導入や同一労働・同一賃金の原則など、労働関係法の改正案を含む「働き方改革関連法」が成立し、2019年以降、順次施行されてきました。

 また、ハラスメントに関する社会の認識は、職場におけるルールを大きく変えました。2017年から2018年にかけて、海外に端を発したセクハラを告発する「#Me Too運動」をきっかけに、ハラスメントは許されないという認識が世界的に広まりました。日本においてもその風潮は高まり、2020年6月にはパワハラ防止対策の義務化を制定する「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が大企業を対象に施行されました(中止企業への適用は2022年)。

 さらに、2020年は新型コロナウイルス感染症のまん延防止として、外出自粛など移動の制限が求められ、テレワークを実施する企業が増えました。オンライン会議アプリなどのICTツールの導入も加速し、人々の働き方は大きな転換期を迎えているといえるでしょう。

 これらの動きによって、人々の働き方は果たして望ましい方向に進んでいるのでしょうか。

「Works Index」で可視化される
働き方改革の真実とは

 リクルートワークス研究所では、日本における個人の働き方を可視化したうえで状態を評価するために、「Works Index」という指標を2016年に開発しました。Works Indexは5つの項目から構成されており、Indicatorと呼ばれる構成要素をもとに得点を算出しています(図表1参照)。いずれの項目も0~100ptの間の値をとり、100ptに近づくほど「個人が生き生きと働き続けられる状況」になっていることを示しています。