「継ぐ・繋ぐ」、そして、みんなで一緒につくる未来へ
一企業の社長として、城島さんはどういう人たちと夢を共有し、事業のビジョンを実現させていきたいのだろう。
城島 ひとつは「こだわり」を持っている方です。譲れないこだわりを持っている方……物事それぞれへの得手不得手があっても、「私はこれをやりたい!」とか、「これが好きなんだ。好きだからやっているんだ!」という方。どんなジャンルでも構いません。「えっ?それが仕事に繋がるの?」と傍から思われるようなことでもいい。「この人とこういうことをしたら面白そうだな」と、僕自身が刺激を受けて、新しい発想を生んでくれそうな方。きっと、そこには、「人間的な魅力」も必要でしょう。その方の持つ引き出しをつい覗き見たくなるような魅力。「いい笑顔するなぁ……」という第一印象から始まる付き合いかもしれません。良いところが何かひとつでもはっきり見える方って素敵ですよね。
株式会社TOKIOは、今年(2021年)5月には「Make with TOKIO! 一緒につくろうプロジェクト」を発表し、ビジネスパートナーを募集した*6 。結果、第一次産業の支援や福島県の復興につながる企画、社会福祉や地域振興に関わるもの……といった、全国の企業・団体から想定をはるかに上回る「伝えたい思い」「形にしたいアイデア」が寄せられ、パートナーの選考にかなりの時間を要した。株式会社TOKIOという企業が、これから、誰と、何をつくり、どこへ向かっていくか――ビジネス界のみならず、世間の注目をよりいっそう集めていくだろう。
*6 「Make with TOKIO! 一緒につくろうプロジェクト」の応募は2021年6月に締切済。
城島 株式会社TOKIOの理想は、自分たちが主体となって、「継ぐ・繋ぐ」関係をつくること。「Make with TOKIO! 一緒につくろうプロジェクト」はその一環です。たとえば、「ザ!鉄腕!DASH!!」でつくってきたモノも、みんなでつくっていきたい。番組で、僕たちはいろいろなことをたくさんの方に教わりながらつくってきました。それを社会に還元するように、株式会社TOKIOは、みんなと一緒につくりたいです。いろいろな人たちと共に。そして、先ほど言いましたように、モノをつくるだけではなく、暮らし方や未来をつくっていきたい。「日本の経済を回す」なんて偉そうなことは言えませんが、そうした長期的な目標を念頭に、自分たちができることをやっていくつもりです。
農業の話になりますが、僕たちが40代、50代の年齢になって、世代もだんだん変わり、下の世代の人たちが農作の現場に来るようになって、以前に僕たちが教わったことをいまは教えたりしています。「田植えはこうするんだよ」とか「畑を耕すには……」とか。「継ぐ・繋ぐ」関係づくりを心がけて、株式会社TOKIOは永遠にチャレンジャーであり続けたいですね。
4月スタートの2021年度も上半期が終わり、残り5カ月あまり。事業初年度のいま、城島さんが改めて思うことは――。
城島 あれよあれよと、4月にロケットスタートで起業して、秋になって……「あっという間だな」という感じですけど、あっという間と感じられることは幸せだと思っています。いまやれること、初年度だからこそやれることを行い、次の年度にバトンを渡し、さらにまた走り続ける――株式会社TOKIOという会社が持続できるよう、初年度の残り数カ月を、一生懸命に、楽しみながら頑張っていきます。「社長」という肩書をいただいている僕自身は、決して楽をしちゃいかんな、と。時間的限界の中でどこまでできるかは未知数の部分もありますが、いろいろなことを勉強しなければ、と思っています。