保険証と銀行口座の連携が
それほど危険ではないと言える理由

 それでマイナポイントに話を戻すと、今回ひも付けられる保険証と銀行口座の情報は、購買履歴や閲覧履歴と比べると危険度は低いというのが私の見立てです。

 危険度が低いうえに、そもそも病院も銀行もどちらも税務署がすでに把握している個人情報なので、リスクではないというわけです。

 さきほど例外として「注意深く生きている方」と書きましたが、たぶんその筆頭は政治家です。いろいろなものが見える化するとまずいので、いろいろと法律で例外を作ります。日本の法律は抜け穴がたくさんあるわけで、その観点からも政治家が作る個人情報連携制度をそれほど危険視する必要はないのです。あくまで「一般市民にとっては」という前提の話ではありますが。

 とはいえ、ここまでお話ししても、何割かの読者の方は警戒して、マイナンバーカードは極力作らないか、作ったとしてもタンスの奥にしまって使わないようにされていると思います。

 マイナポイントに関して唯一大きなリスクとしては「特殊詐欺」でしょう。おそらく仕組みがよくわからない高齢者に向けて、詐欺団が新しい手口を編み出すはずです。ですから本当はもっとシンプルな「一律2万円給付」のほうがよかったのでしょうけれども、それを言い出すと話がふりだしにもどるのでここで解説は止めにしておきましょう。

 昨年実施されたマイナポイントの際には、私は政府からもらえる5000円と、連携したキャッシュレスサービスが独自に提供する2500円をきっちりともらいました。そのような人にとっては、今回のベネフィットの上限は1万5000円分になるはずですが、それも私はきちんともらおうと思います。

 そしてマイナンバーを警戒する人が多くて、なかなかマイナンバーの普及が進まない限り、このような形での「実質的な給付金」を私は何度でももらうつもりです。なぜかというと“むかしむかしの国王がはじめた人頭税”に対比されるべき現代日本の消費税増税は、すでに2年前に始まっているからです。

 デメリットの方が先に来ていて、それをなだめるための政策が後から考えられている。それが今、わたしたちの目の前にある現代の寓話(ぐうわ)の正体だからなのです。安心して「もらえるものはもらおう」と私は思います。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)