ソーシャルビジネスが熱い。まあ、「社会貢献」とか「ソーシャルなんたら」とかは以前からずっと熱いのだが、今年はさらに熱をおびているように感じる。社会起業家やNPOがやっていること、企業がCSRでやるべきことも、そして社会貢献志向の大学生がやりたがっていることも、ソーシャルビジネスという言葉に集約されつつある。それが2012年の日本ではないだろうか。
その予兆は元日からあった。元日の新聞の一面トップ記事というのは、意外とその年を象徴しているものだが、社会貢献に関心のある読者は覚えていることだろう。今年の1月1日、日経MJの一面特集のタイトルは「社会貢献はビジネスへ」。まさに「今年はソーシャルビジネス元年ですよ!!」とうたっていたわけだが、12月になってあらためて思う。「やっぱりそうなったよね」と。もう僕らは迷わない。ボランティアもCSRも社会的企業もNPOも、なんとなくもやもやしていたものが、「そうだ!ソーシャルビジネスをやればいいんだ!」と納得した。それが2012年という年なのである。
ソーシャルビジネスに取り組む
日本企業の実態調査
というわけでもないだろうが、日本財団は2005年から2011年まで、7年間にわたって行なってきた「CSRへの取り組みに関する情報開示状況」調査を終了。今年から、日本におけるソーシャルイノベーションカンパニーの実態調査を開始した。「本業の強みをいかして社会的課題を解決し、ビジネスとして持続可能な仕組みを構築している日本企業の実態を把握し、ソーシャルイノベーションカンパニーの普及に向けた指針を探る」ことを目的とした調査である。これもまた、時代の流れなのだろう。調査プロセスは以下の通りである。
1) 東証一部上場企業および売上高上位企業への、本業を通じた社会課題の実践状況に関するアンケート調査
2) 調査評価委員会において、アンケート回答企業の事例をカテゴライズ
3) 評価委員会において選定された企業へのヒアリング調査
4) 評価委員会において、ヒアリングを実施した企業の事例調査をもとに、ソーシャルイノベーションカンパニーの創出プロセスをとりまとめ
今回はこの調査の結果(中間報告書)を元に、僕の視点で考察していきたい。
まず注目すべきは、アンケート調査への回答者(部署)である。同調査では、東証一部上場企業1680社、および未上場企業の中から売上高上位20社の経営企画部に対して調査票を送付。回収率は11.2%と少ないものの、回答企業の中の52.8%が「経営戦略・企画」部署が回答している。ちなみに「CSR」部署が31.1%、広報が7.8%、その他が6.2%である。