日産が国内新車販売で「トップ10圏外に転落」の衝撃!トヨタ、ホンダと比べて「独り負け」の真相【5年分データ追跡】Photo:Mario Tama/gettyimages

前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社の状況を明らかにする連載「明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2025年3〜5月度の自動車編だ。(ダイヤモンド・アナリティクスチーム)

日産が追浜工場のリストラを表明
新車販売でトップ10から消えていた!

 自動車の主要3社が発表した2025年3〜5月度の月次業績データは、以下の結果となった。※いずれも軽自動車を含む。トヨタはレクサスを含む。

◯日産自動車の国内販売台数
3月度:前年同月比88.5%(11.5%減)
4月度:同81.0%(19.0%減)
5月度:同87.8%(12.2%減)

◯トヨタ自動車の国内販売台数
3月度:前年同月比114.9%(14.9%増)
4月度:同111.8%(11.8%増)
5月度:同104.4%(4.4%増)

◯ホンダの国内販売台数
3月度:前年同月比104.1%(4.1%増)
4月度:同89.9%(10.1%減)
5月度:同85.1%(14.9%減)

 トヨタは3カ月連続で増収している一方、日産は3カ月連続で前年同月比80%台に沈んでいる。ホンダを含めた3社の中でも「独り負け」が目立つ。

 7月4日に発表された25年上半期(1~6月)の車名別新車販売台数は、衝撃的な結果だった。登録車と軽自動車の合計ランキングで、日産車がトップ10にひとつも入らなかったのだ。首位はホンダの「N-BOX」で、根強い人気を見せつけた(詳細は後述)。2位はトヨタの「ヤリス」、3位はスズキの「スペーシア」だった。

 日産車は24年の年間ランキングで6位だった「ノート」が、25年上半期では13位に後退した。日産のブランド力低下がうかがい知れる最新データだ。売れ筋のミニバン「セレナ」は、25年上半期は18位に沈んだ。

 そして7月15日、日産は神奈川県の追浜工場における車両生産を2027年度末に終了すると発表した。追浜工場は1961年に操業開始、「ブルーバード」や「マーチ」、近年はノートなど主力車種を生産してきた。

 日産ユーザーや往年のファンからは、「最近は買いたいと思う新車がない」「旧態化したモデルが多い」「そもそも商品数が少ない」「日産ならではの特徴や技術のこだわりが見当たらない」「他社の同クラス車に比べて値段が高い」など、さまざまな厳しい意見が出ている。

 日産は、20年3月期決算でリーマンショック以来11年ぶりの最終赤字に転落。実はそのころから販売不振や過剰な生産能力が指摘されていた。そこで、直近5年半分の月次業績データを振り返り、トヨタやホンダと比べると、見逃せない意外な事実が分かった。