働き盛りのサラリーマンは、がんとどのように戦ったのか。転職エージェント企業で部下を抱える管理職だった金澤雄太さん。突然のがん宣告を受けて、手術と治療、再発を経験しながらも、がん罹患前から業務目標を下げず社内MVPまで獲得した。特集『部下と自分のために! 最新版 部長と課長のがん対策』(全6回)の#3では治療と仕事を両立させた金澤さんを支えたものに迫る。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
突然がんの宣告を受けた転職コンサル
長期間の闘病後に上司が掛けた言葉とは
2014年11月。転職エージェント企業のJAC Recruitmentのマネージャー、金澤雄太は、立って歩くのも困難なほどの腹痛に襲われ、救急外来に駆け込んだ。「薬をもらいたい」と思っていたのだが、その場で即日入院・緊急手術が決まった。その日切った部位の病理検査で、ステージ2の虫垂がんと診断された。
するはずだった腸閉塞の手術を、がんを除去するための手術に切り替えた。その後合併症を起こしたこともあり、約3カ月の入院生活に。入院期間中の半分くらいは絶食で、体重は17キログラム落ちた。
転職コンサルタントとして、顧客と会って転職相談に応じる仕事をしていた金澤。プレイングマネジャーとして部下を束ねる管理職でもあった。外出もままならない状態が続いたのに、仕事に復帰できるのか。
長い入院から退院し、15年に復職。これからどうやって仕事を続けていけるのだろうか。当時の上司とすぐに面談し、顧客訪問は可能な体調であること、しかし自分のことで手いっぱいなので管理職として部下を見る余裕はないことを伝えた。
そんな不安を抱えた金澤に上司が掛けたのは、意外な言葉だった。次ページからは、2度の転移でがんの治療を続けながらも、社内1位のMVPを獲得するまでに実績を上げられたその理由を、詳しく追っていく。