特集『健康診断のホント』(全18回)の#4では、おなじみのがん検診メニューを最新のエビデンスで総評価する。男性の部位別死亡率で上位3位の胃がん・大腸がん・肺がん検診。どんな検査を受け何を受け何に注意すべきなのか。(ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣、医療ライター 山本尚恵)
【胃がん】
精密な内視鏡は人気定着
苦手があるABC検査
胃がんは日本人がかかりやすいがんの一つだ。欧米先進国と比べ際立っている。2016年の罹患率は男性で1位、女性で4位となっており、高齢になるほどその割合は増える。
だが、死亡率、罹患率共にずっと低下しており、早期ならほとんどが治療可能とされている。全国がんセンター協議会加盟施設のデータ(08~10年診断例)によると、ステージ1の胃がんの5年生存率は97.4%と高い。
胃がんを発生しやすくさせるリスクとしては喫煙、塩分摂取過多、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)という細菌への感染などがある。早期の胃がんでは自覚症状があまりなく、胃炎や胃潰瘍と間違われることもある。
14年に国立がん研究センターが作成した胃がん検診ガイドラインでは、50歳以上を対象に、2年に1回の胃がん検診を受けることが推奨されている。検査方法については、X線(バリウム)検査と内視鏡(胃カメラ)検査が推奨グレード「B」(死亡率の減少効果が不利益を上回り、対策型検診・任意型検診の実施を勧める)という評価だ。
その裏付けとなる死亡リスクの減少効果はどうか。