韓国は、それに先立ちサンフランシスコ平和条約(1952年4月28日発効)の起草過程において、同条約を起草していた米国に対し、日本が放棄すべき地域に竹島を加えるよう求めた。しかし、米国は「竹島は朝鮮の一部として取り扱われたことはなく日本領である」としてこれを明確に拒否したため、条約の発効直前に李承晩ラインが設定されたものである。つまり、李承晩大統領の歴史改ざんは国際的に認められていないということである。

 しかも、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は2006年、竹島について特別談話を発表、「日本が韓半島の侵奪の過程で最初に奪い去った歴史の土地だ。日本は日露戦争のさなか、戦争遂行を目的に編入した。日本が独島の権利を主張するのは植民地の領土権を主張する行為だ」「独島は我々韓国民にとって完全な主権回復の象徴であり、日本が誤った歴史を美化する限り両国の友好関係は成立しない」と主張した。

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 これこそまさしく歴史改ざんであり、李在明氏は盧武鉉大統領の歴史改ざんを継承している。

 韓国大統領の歴史改ざんは、何も文大統領、李在明氏に限ったことではないが、李在明氏の歴史改ざんは国内政治、日韓関係の成り立ちに関わる基本的な面で生じており、これは今後、国内政治、日韓関係に多大な否定的影響を与えかねない。

 韓国は日本に対し「歴史を直視しろ」という。しかし、むしろこの言葉をそのまま韓国大統領に返したい。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)