原告側が勝訴を予想できた
2つのワケ

 この訴訟が始まってから、3年半の月日がたっていた。

 事前に原告側の勝訴が予想されていたのは、大きく2つ理由がある。一つは、岡田氏がユニバーサル社と争っていた裁判に昨年9月に敗訴していることだ。

「その判決内容を踏襲すると、こちらの訴訟も勝訴できるのではと思っていました」(勝部弁護士)

 もう一つは、口頭弁論が終結した9月7日が、岡田氏自らが申請した尋問の期日だったにもかかわらず、岡田氏本人が現れなかったことだ。当日の朝、岡田氏の代理人弁護士のところに連絡があり、「自分は今日出廷しない」と言ったという。その理由は、「正当な尋問が行われると思えない」「他にも呼ぶべき人がいるのに、なぜ自分だけなのか納得できない」といった内容だったという。

 代理人弁護士がしどろもどろになってその旨を裁判長に告げると、足立拓人・川村久美子両名の裁判官は不快感をあらわにした表情に代わり、朝倉裁判長に至っては、机を叩かんばかりの勢いで、激しい怒気を込めて代理人弁護士を詰めていた。

「自分で申請したんですよ」
「いったいどういうことなんですか」

 その間、法廷内が凍りついたように静かだったことは言うまでもない。

 私もかつて、自分の裁判で、当事者尋問に相手が現れなかったことがある。そのときの代理人弁護士の焦りようははたから見ていても尋常ではなく、大量の汗を流しながら、一生懸命裁判長に訴えていた。

「本人から朝体調が悪いから行けないと連絡があった」
「詳しい病状などはわからない」

 当たり前だが、裁判長はこう断言し、結審となった。