ジョージア州の州務長官が
明かしたトランプ氏からの圧力

 メドウズ首席補佐官がペンス氏に選挙結果を無効にするように告げた6州の中にはアリゾナ、ペンシルベニアなどの他、バイデン氏が1万1780票の僅差で勝利したジョージア州も含まれていた。

 ジョージア州に関しては、トランプ氏も自ら選挙管理責任者のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官に電話し、圧力をかけていた。

 つまり、大統領が州の高官に法律を破るよう要請したわけだが、ラフェンスパーガー氏は11月4日のPBS「ニュースアワー」の番組で、その具体的な内容を明らかにした。

「1万1800票を見つけるよう要請されましたが、そんな票は存在しませんでした。大統領は“すでに死亡したはずの5000人が投票した”と主張しましたが、実際には5人もいませんでした。“重罪を犯した犯人が何千人も投票した”とも言われましたが、74人以下でした。“投票年齢に達していない若者が6万6000人投票した”とも言われましたが、実際には1人もいませんでした。私はデータに基づいて冷静に説明しました」

 トランプ氏の電話は1時間以上に及んだというが、そのことがメディアで大きく報じられ、結果的にラフェンスパーガー氏の名前は歴史に刻まれることになった。

 同氏は大統領から圧力をかけられた事実を人々に知らせることは重要であると考え、そのときの経験をもとに新著『インテグリティ・カウンツ(大切なのは誠実であること)』を執筆した。

 それから同氏は、「選挙のためかもしれませんが、私は事実を曲げるつもりはありません。大切なのは誠実であること、だから本を書いて、ありのままの真実をつまびらかにしたのです。その中にはトランプ大統領がジョージア州で勝利に届かなかったという残酷な真実も含まれています」と語った。

 ラフェンスパーガー氏は共和党員だというが、共和党の中にもトランプ氏の圧力に屈せず、自らの信念に基づいて行動した人がいたのである。