Boxは、クラウドにある「箱」のようなサービス

 Boxというクラウド上の「箱」を利用するメリットは何か? 最初の一歩は、リモートワークの普及で職場以外からでも必要なデータにアクセスできることだったかもしれないが、本当のメリットは単にいつでも・どこでもアクセスできるだけではない。BoxはAPIを通じて、オンライン会議のZoom、CRMのSalesforceなど、「ほぼ全て」(古市氏)のクラウドサービスと連携できる。

 ほとんどのクラウドサービスは、サービスごとにデータの置き場を持っているため、複数のクラウドサービスを使うとデータの格納場所がバラバラになりがちだ。しかしBoxはほかのクラウドサービスと連携できるので、例えば、Zoomでオンライン会議をしたり、Slackでやりとりをしたりしていても、メンバーが扱うドキュメントは全てBoxに一元化、ということが可能になる。これを古市氏は「アプリケーションと、ファイルやコンテンツの分離」と表現する。これにより誕生するのが「コンテンツクラウド」だ。

 コンテンツを一元化して入れる箱(=コンテンツクラウド)を持つことで、複数のクラウドを導入したときに出てくるコンテンツの点在、それぞれに容量を増やすために追加料金を払うという問題の緩和にもつながるという。全員が同じコンテンツにアクセスするため、常に最新版。もちろん、履歴をたどることもできるし、どこかに古いバージョンが残っているという問題からも解放される。

 こうしたメリットに加え、機能の強化も進めてきた。セキュリティ強化のほか、もう一つ注目は、11月16日からグローバルで提供を始めた「Box Sign」。電子署名の機能は、いわゆる「ハンコ出社」をなくすため日本でも要望が多い。電子署名の機能を提供する企業はほかにもあるが、Box Signの場合はBoxの基本機能として組み込んであるため、使いやすく、追加料金なしで利用できるのがメリットだという。