頭を使って「よりよい社会を作るため」にできることを考えていく
テレビ東京 ニュースモーニングサテライト解説キャスター デジタル副編集長
2005年 東京大学大学院法学政治学研究科修了。テレビ東京入社。政治担当記者として首相官邸、国会を担当。2012年 経済報道番組ワールドビジネスサテライト ディレクターを経てマーケットキャスターとして金融市場を取材。2016年 ロンドン支局長兼モスクワ支局長として欧州、アフリカ、中東地域を取材。2020年 報道局デジタル副編集長兼ニュースモーニングサテライトキャスター。 テレビ東京報道局公式アプリテレ東BIZ及びYouTubeチャンネルにてテレ東経済ニュースアカデミーなどニュース解説動画を配信中。
豊島:そもそも地政学的に不利な日本は、エネルギー政策に議論を傾けるより、SDGsの他の目標に貢献するべきという考え方もあるようですが、これについては?
竹内:私もそう思います。SDGsやESGという概念が出てきたとき、「これで気候変動やエネルギーに偏らず、現代社会の抱える問題を均等に議論できるのでは」と期待したのですが、気候変動にキャピタリズムが入って先行しているのが現状です。もちろん、気候変動問題は他の課題にも波及しますし、本当に危機感の高い課題でもあるので仕方のない部分はあると思います。しかし、「誰一人取り残さない」というSDGsの原則から考えると、足元の課題で置き去りにしていることも多いはずです。日本企業は得意分野を生かし、「気候変動以外にもできることがある」と、フラットな頭で考えてほしいと思います。
冨山:CO2排出量の考え方で、Scope1〜3というものがあります。事業を行ううえで排出されるCO2だけでなく、材料の調達から販売された製品の廃棄まですべての工程におけるCO2を把握するためのものです。日本の場合、Scope1(事業者自らの製造プロセスによる直接的なCO2排出)が非常に不利な地理的条件にあります。それならば、Scope2やScope3へと視野を広げるべきではないでしょうか。
SDGsやESGの中には、社会の問題も含まれています。この分野なら、日本に不利はないはず。ダイバーシティや人的資本投資は、天然の条件ではありません。自分たちで変えられるものです。そこでの勝負を押し出していったほうがいいと思います。
竹内:いい世の中を残すために何ができるのか、頭を使って考えることが、日本の大企業社員としてやるべきことではないでしょうか。コロナ禍で強制的に社会を見直さなければならない今は、まさにチャンスです。たとえば、今までのやり方に対して国の規制は変わっているにもかかわらず、企業の中で「なんとなく前の通り」と続けているルールがあるかもしれません。一人ひとりが頭を使い、「この仕事は本当に必要だろうか?」と考えれば、やめられることや変えられることは意外とあるはずです。
楠見:コロナ禍は非常に大変な状況だったものの、新しい発見もありました。パナソニックで言えば、チャットツールを使って仕事を進められることがわかったんです。会議をしなくても、自分がもっとも集中できる時間に考えたことを積み重ねていける。このように時間と場所を超えることが仕事に有効だと気づけました。
大塚:私たちがミッションに掲げている「幸せの量産」も、画一的な幸せではなく多様な幸せを目指しているわけですが、デジタルの力があってこそ生み出せると思います。そしてそのためには、ダイバーシティを生かすべく、私たち一人ひとりがもっと頭を使っていかなければなりませんね。