ワナ② へそくりには贈与税がかかる!?

―――パートナーの給料を、一部へそくりにして貯める人もいますよね。

荻原:パートナーがたくさん稼いでくれればね。ただ、その場合も注意すべき点があります。「パートナーの収入は自分のもの」と思っている人は、特に要注意です。

 何が問題かというと税金ですね。パートナーが稼いだお金の一部を自分の口座に入れて、それで自分名義の車を購入したら、それは贈与税の対象です。たとえば200万円に対する贈与税は9万円(!)。

―――でも、贈与って年間110万円までならかからないって聞いたことがあります。

荻原:それはその通り。ただ年間110万円までを無税で贈与されるためには、贈与する側、される側双方の了解が必要です。

 でもね、へそくりって、ちょこっとお金を抜き取っているのをパートナーに知られずに行う行為じゃないですか。「双方の了解」って、なかなかない話ですよね。

 だからへそくりをする人は、その金額が大きくなればなるほど、税務署から指摘される恐れがあることだけは、頭の片隅に入れておくといいでしょう。

ワナ③ パート収入を夫の口座に入れると税金がかかる

―――ということは、家計管理の口座が夫名義になっていて、たとえば妻がパートで働いて得た収入をその口座に入れたとしたら、やっぱり贈与税の対象になるってことですか?

荻原:そうです。この場合、年間110万円以上だと夫に贈与税がかかります。そして万が一、夫が亡くなってこれを妻が相続すると、控除額を超えたぶんには相続税がかかります。

 実際には自分で稼いだお金なのに、夫名義にしていたばかりに相続税がかかったらバカバカしいですよね。

 ですから、妻がパートで得た収入は、必ず自分名義の口座に入金するようにしてくださいね。

【大好評連載】
第1回 お金持ちが決してやらないボーナス2つの使い道
第2回 「ふるさと納税」で損をする3つの落とし穴
第3回 ズボラな人が今すぐやるべきお金の対策ベスト3
第4回 50代がやってはいけない3つの投資、20代がやるべき3つの投資

夫婦が陥りがちなお金にまつわる3つのワナ荻原博子(おぎわら・ひろこ)
1954(昭和29)年、長野県生まれ。経済ジャーナリスト。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済のしくみを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『役所は教えてくれない定年前後「お金」の裏ワザ』(SB新書)、『50代で決める! 最強の「お金」戦略』(NHK出版新書)、『投資なんか、おやめなさい』『払ってはいけない』(新潮新書)、『私たちはなぜこんなに貧しくなったのか』(文藝春秋)など。
夫婦が陥りがちなお金にまつわる3つのワナ