衆院選後、議員への「ご説明」で
官僚は忙殺

 今年、官僚たちの仕事が後ろに押したのは、10月31日投開票の衆議院選挙で、躍進が予想されていた立憲民主党が議席を減らした一方、日本維新の会(維新)が選挙前勢力の11人から41人に増え、公明党を抜いて第3党に躍り出たことだ。この選挙は「世代交代選挙」という側面も持ち、与野党問わず、当選回数の多いシニア議員の落選と新人の当選が目立った。

 前述の官僚はこう語る。

「それでも、維新以外は大量当選というわけではないので、ご説明も楽だったと思いますよ」

 維新に関しては、第3党という自覚がないのではと思うほど、記者や官僚からの評判が悪い。全国紙の政治記者は次のようにこぼす。

「小泉、小沢、安倍チルドレンと同じ轍(てつ)は踏むな、ということかもしれないのですが、新人議員相手だと自由に取材することすらままならない。正式な申し入れをして、そこから党で諮り、許可が出るとようやく取材ができる。記事についてもいちいち『コメントを確認させろ』と党が要求してくる始末。まるでPTAです。新人とはいえ、彼らは公職に就いている立派な大人であり、この国のかじ取りを担う役割を任されたわけです。自分たちの発言に責任を取れないようなら、それは政治家ではない」

 維新は、現大阪市長の松井一郎代表が記者からの呼びかけにこたえず、無視することも度々ある。非議員で2番目に勢力が大きい野党党首というのは、やはり無理があるのではと思ってしまう。松井代表のスタイルは大阪では通用しても、全国レベルでは許容されないだろう。

 霞が関界隈で維新の評判が芳しくないのは、そのあたりに理由がありそうだ。支援金や給付金問題での醜態を1年以上にわたり国民にさらし続けている経産省の官僚ですら、こう語る。

「こうした党からは大人物は出ないでしょう。でも、党の懸念もわかります。維新の新人は、国政の現場を何も知らない政治の超素人か、血筋のよいサラブレッドに大別される。今回は、時流と世論にうまく乗って議席数が大幅増となりましたが、次回は揺り戻しがあるでしょう。財務省などの主要官庁では、維新の新人さんには、Aランクの新人官僚を勉強のために説明に行かせていたと聞きます。一方、第1次岸田政権から、閣僚の顔ぶれはあまり変わっていませんし、新人議員への説明は、大して意味を持たない」