ベテランの秘書が
維新の新人議員を支える?

 そこで、前述の財務省官僚に再び話を聞いた。彼は、自分の仕事はほとんど終わったということで余裕のある顔つきだった。そして、経産官僚の言葉を否定しなかっただけでなく、こう付け加えた。

「診療報酬の決着は毎回ギリギリですし、コロナ関係も完全には終わっていないので、厚労関係の担当者は徹夜続きですから大声では話せませんが……。僕の感覚では、選挙で押した予算編成に大きな混乱が生じなかったのは、古参の政策秘書やベテランの秘書が維新を中心とした新人議員の事務所に流れたからだと思いますよ」

 議員が落選した途端、秘書たちも全員無職になり、再就職先探しに躍起となる。一人の議員に長く仕えていた古参の秘書ほど、身の振り方は厄介だ。議員バッジが世襲されれば、そのままスライドすればよいだけだが、大方は、失職した議員や党からの口利き、秘書同士のつながりをたどって新たな勤め先(議員事務所)を探す。

 全くの新人議員の事務所ほど、彼らのようなノウハウを持ち、政策立案ができる秘書を欲している。お互いのニーズが合致すれば、党を超えて再就職するケースは多い。彼らの誘導のおかげで、大した混乱もなく、国会運営も予算編成も進んだというわけだ。

 とはいえ、維新には改めて、国政で3番目の勢力を持つ党としての自覚を持ち、襟を正してほしいと思う。