2. 近似種を活用する(カニの場合)

 二つ目は近似種の活用です。イクラで紹介した鱒の卵と似ている点もありますが、ここではカニを例に取ってみましょう。

 高価なカニといえば、三大ガニともいわれるズワイガニや毛ガニ、タラバガニです。ただ、これらは今年特に高騰しているカニでもあります。しかし、これらに近い種のカニであれば、形や味が近いものを安く手に入れることができます。

 例えば、ズワイガニであれば、その近似種には「紅ズワイガニ」や黄金ガニとも呼ばれる「トゲズワイガニ」がいます。紅ズワイガニは、身のしまりや詰まり具合はズワイガニに劣るかもしれませんが、味の濃さが特徴。トゲズワイガニは、ズワイガニに負けないくらい身にしまりがあり、ややあっさり目の味をしています。粗悪なズワイガニを買うくらいなら、これら近似種の方がよっぽどコストパフォーマンスが高いです。

 同様に毛ガニの近似種としては、「クリガニ」や「トゲクリガニ」がおり、タラバガニの近似種としては、「花咲ガニ」や「アブラガニ」などがいます。

 近似種は、まがい物として見られることもありますが、素直に味わえばコストパフォーマンスの良さは抜群です。

3.他部位を活用する(マグロの場合)

 三つ目は、他部位の活用です。ここでは、マグロを例に取ってみましょう。

 マグロの部位というと、すぐに思い浮かぶのは赤身、中トロ、大トロかと思います。これらは値段も高く、特に大トロはその最高峰になりますが、マグロの可食部位はこれだけではありません。

 脳天、ほほ肉、アゴ、のど、カマ、尻尾、ハーモニカ(ヒレの付け根)、目、胃袋、心臓、白子、卵などさまざまな部位が食べられます。このうち、脳天やほほ肉、カマなどは、鮮度が良ければお刺身でもおいしくいただけます。

 中には「トロよりもおいしい」という人もいるほどで絶品なのですが、大トロなどと比較をするとそれほど高くはありません。他の部位も焼く、煮るなどの加熱調理をすることでおいしくいただけます。

 希少部位といわれるこれらの部位は、一般的なスーパーで売っていることはまれですが、市場や本格的な魚屋では売っています。コストパフォーマンスは間違いなく高いので、そうしたお店に行く機会があれば、活用してみることをオススメします。

 いかがでしたでしょうか。年末の定番海産物が高騰している今年は、少し視点を変えてみるのも面白いと思います。皆様にとって良い年末年始になることをお祈りいたします。

(おさかなコーディネータ ながさき一生)