愛国派のイメージが強かった周CEO

 過去の報道を調べてみると、昨年7月にも周CEOが太陽城集団の中国国内でのマネーロンダリングや2019年の香港デモを資金支援した容疑で取り調べを受けたというウワサが流れて、同集団株が急落している。このとき、周CEOは動画で声明を発表して、同グループのマカオでの観光、カジノ事業は完全に合法的なものだと強調し、ウワサを全面否定した。さらには、香港デモ支援のウワサに対しても「自分は愛国者であり、国家に危害を与えるいかなる行為を支持することは絶対にない」と断言している。

 その言葉はある意味、これまで一般社会が周CEOに抱いていたイメージそのままだった。というのも、太陽城集団傘下の娯楽文化企業は、2016年に中国で公開された国威発揚映画「メコン川行動」、そして2018年の「紅海行動」に出資している。その内容は、前者がタイのメコン川流域、後者は中東を舞台にし、どちらも中国から派遣された特殊部隊が現地テロリストグループを壊滅させて、人々を救うという、昨今の中国で大ウケするタイプの作品で、堂々とそんな作品を作ること自体がすでに「愛国派」だとみなされる行為だったからだ(ただし、今回の逮捕後、作品配給会社は周CEOらの出資を否定する声明を出している)。

「愛国者」イメージはただの隠れみのだったのか、それとも「愛国者」ですらも許されない罪を犯したということか。それとももっと深い理由があるのか?……一部ではギャンブルに負けた者の腹いせではないかなどと、今回の逮捕をめぐってさまざまな議論が飛び交っている。