「ネイル」と聞くと、爪をカラフルに着色したり、パーツを取り付けて華やかにしたりするイメージを持つ人も多いかもしれない。だが、大石氏のサロンをはじめ、男性向けコースの多くは、指先の「手入れ」がメインだ。

「多くの女性がするネイルがメークアップだとすると、男性向けのネイルは爪のスキンケアといったところです。爪先のいびつな形や、乾燥による爪表面の縦じわや凹凸など、爪に対する悩みを抱えている人は多くいらっしゃいます。そうした悩みを改善し、そもそもの爪を美しく、健康的で清潔感のある状態へと導くのが『メンズネイル』なのです」

 大石氏のサロンの男性向けコースの内容は、爪の形を整え、甘皮の下に張り付いている薄皮と呼ばれる角質を除去し、顧客の希望に応じて表面を少しだけ磨いて、ハンドマッサージをするというもの。カラフルなカラージェルも、豪華なパーツも登場しない。なかには仕上げとして爪に色をのせていく人もいるが、ほとんどが透明なトップコートか、薄いベージュなどの自然に見えるカラーを選ぶそうだ。

メンズネイルを行う前(右)と後(左)メンズネイルを行う前(左)と後(右)

好感度アップに加え
メンタル面での効果も

 大石氏いわく、「サロンを訪れる男性客の年齢層はかなり幅がある」とのこと。

「下は20代半ばから、上は60代まで、多くの男性が爪を美しくしたいとやって来ます。特に多いのは、30~50代のミドル世代です」

 彼らが爪を美しくしたいと、サロンに訪れる理由のひとつが、ビジネスのためだ。

「名刺を渡す、資料を指差す、キーボードを打つなど、ビジネスシーンで『爪』を見られる瞬間は案外多いです。手や爪が与える印象は意外に大きく、手入れが行き届いていると『清潔感がある』『自己管理能力が高そう』『丁寧に業務に取り組んでくれそう』と、好印象を抱かれやすいのです。そのため、人と接する機会が多い接客業や営業職、身だしなみの重要性を十二分に理解している社長やエグゼクティブの人たちの来店がとても多いですね」

 また、ネイルはメンタルへの良い効果も期待できるそうだ。