テレビ業界はオワコン?
NHKも避けられない、長期低落の三つの原因

 テレビ業界は長期低落の状況にあります。テレビを見る人が減っている。背景には三つの大きな原因があります。

 一つは、これは民放の話になりますが、広告収入が減っている。経済産業省の調査によれば、この20年でテレビ広告は3割減っています。二つ目の原因として広告収入が減ることで、番組の制作コストが少なくなります。つまり番組がつまらなくなる。そして三つ目の原因は、スマホというもっと面白いライバルがいることです。

 この三つの原因を考えれば、2019年にインターネット広告がテレビ広告を上回ったことも同時に理解できます。さらにいえば、この三つの原因は「負のサイクル」を構成しているわけで、結果として今後さらにテレビ広告は減り、番組はつまらなくなり、視聴者は減るという流れは止まりません。

「でも、NHKは法律で月額約1300円(地デジのみ)から約2000円(衛星放送込み)の受信料が入ってくるから、民放のような負のサイクルは起きないよね」と思われるかもしれません。

 ここがポイントです。

 NHKの職員としての仕事を「お役所仕事」だと割り切れば、何もせずにこの状態をキープするという選択肢もありえます。しかし、他省庁のお役所仕事でも小泉改革のような改革が必要とされるこのご時世です。

 もし、次に変な総理が誕生したら、NHKの仕事の前提は強制的に変更されるかもしれない。だったら、自らNHKを変革した方がいいという問題意識を持つ職員がいらっしゃるというのは、当然ながら良いことです。

 とはいえ、NHKで何を改革するかというと、経営コンサルタントの視点で考えれば受信料のシステムを変えるとか、職員の数を合理化するといった難しくて軋轢(あつれき)が大きい改革よりも、やりやすくかつ効果が大きいのは、番組を面白くすることです。

 そこで問題になるのが、「面白い番組って何?」という話です。