そして2004年、同じく東欧のスロバキア、ルーマニア、ブルガリア、スロベニアがNATOに加盟。

 さらに、この年にはバルト三国、つまりリトアニア、エストニア、ラトビアも加盟している。

 バルト三国は、かつてソ連の一部だった。

 ロシア人は「ソ連=拡大ロシア」と考えている。

 そのため、バルト三国のNATO加盟は、「かつて自国の一部だった地域が反ロシア軍事同盟に参加した」と受け止められた。

 当時すでに大統領だったプーチンは、この時からずっと、約束を破った米国を憎んでいるのだ。

 冷戦崩壊時、反ソ連軍事同盟のNATO加盟国は16カ国だった。

 それが今では、30カ国まで拡大している。

 しかも、米国には拡大を止める気がなく、今度はロシアの西の隣国で旧ソ連国のウクライナ、南西の隣国で同じく旧ソ連国ジョージアをNATOに加盟させようとしている(ただし、「今すぐ加盟させる」という話にはなっていない)。

 これが実現すると、ロシアとNATOの間に「緩衝地帯」がなくなってしまう。

 これは、ロシアにとって大きな脅威となる。

 プーチンは、言う。

「ウクライナがNATOに加盟すれば、モスクワを5分でミサイル攻撃できるようになる」と。

 そう考えれば、プーチンの憤りにも「一理ある」といえる。