障がいのある人と障がいのない人を繋ぐ“懸け橋”としての人事部門

さまざまな人がそれぞれの働き方をするダイバーシティ社会で、障がいのある人は企業においてどのような活躍をしているのだろう――障がい者によるイノベーション創出の支援を行う一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)が昨年2021年12月に「ACEフォーラム2021」をオンライン配信&リアル集客で開催し(*1)、“顕著な活躍を行う障がいのある社員をロールモデルとして表彰する”ACEアワード2021を発表した。フォーラムのテーマは、「共生社会が生み出す障がい者のパワーを企業の競争力に」。ACE事務局長の栗原進氏に、企業における障がい者就労の“いまとこれから”を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部)

*1 ソーシャル・ディスタンシングに配慮のうえ、会場はACE関係者のみの参加とし、開催模様はオンラインにて生配信した。

リアル対面のコミュニケーションが生み出すパワー

「企業の成長に資する障がい者雇用の新しいモデル確立」を目指す一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム(以下、ACE)は、現在(2022年1月)、業界を代表する34社の会員企業から構成されている。障がいのある社員のキャリア創出支援や障がいのある学生を対象としたインターンシップなどを行い、毎年、その活動成果の発表の場として、ACEフォーラムを開催している。

栗原 一昨年2020年の「ACEフォーラム」は、新型コロナウイルスの感染拡大により、オンライン配信のみの実施となりましたが、昨年2021年のACEフォーラムが行われた時期(2021年12月)は国内での感染者数が落ち着いたことで、久しぶりに一堂に会しました。ただ、実際の会場にお越しいただくのはACEメンバーと日頃お世話になっている関係者のみとし、2020年に引き続き、全模様のオンライン配信を行いました。

 2020年と2021年のコロナ禍での勉強会や打ち合わせ、各種主催セミナーはすべてオンライン開催でした。都市圏以外の参加者の増加や移動時間がなくなり、オンラインには会員企業の皆さんが忙しい合間を縫って参加できるメリットもありましたが、ACEフォーラム2021では、実際に会って話をするコミュニケーションが生み出すパワーに久しぶりに圧倒されました。もちろん、オンラインでも会話は可能で、目的を果たすことはできます。ただ、ちょっとした雑談はできません。このちょっとした雑談が人と人の距離を大きく縮め、そこから生まれる親しみやすさやさまざまなアイデア・意見の豊富さにも改めて気づく機会となりました。会員企業の担当者がみな笑顔で楽しそうにイベントを支えてくれたのがとても印象的でした。

 また、2021年は、東京でパラリンピックが開催された縁もあり、基調講演に元パラアスリートで公益財団法人日本財団パラリンピックサポートセンターに勤務する田口亜希様にご登壇いただきました。ご自身が車いすユーザーで、仕事や生活における配慮やサポートが必要です。その上で、(講演での)「私も皆さんを助けたい」という言葉がとても心に残りました。昨今よく耳にする「共生社会」というワードですが、私は、本当はそれはどういう社会なのだろう?とずっと思っていました。誰かが一方的に支援することばかりに考えがいきがちでしたが、互いに助け合うのが「共生社会」なのでは、と気づかせていただきました。

栗原進

栗原進 (SUSUMU KURIHARA)

一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム 事務局長

1992年、日本IBMに入社後、システムズエンジニアとして損保、都銀、信託銀行と金融のお客様のシステムを担当。2000年に社内人材公募で広報部門に異動し、社内広報でイントラネットの再構築に関わり、その後、PRを担当しつつ、日本IBMのソーシャル・メディアの立ち上げや災害時のSNS活用のガイドラインの整備を行う。2018年、日本IBMを退社し、人事関連広報の経験を生かし、LGBTQ社員が自分らしく働ける職場づくりを進めるためのセミナー「work with Pride 2019」の実行委員長を経て、現在、一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアムの事務局長として、企業における障がい者雇用を推進する傍ら、フリーランスとして執筆や各種イベント運営などを担当している。