西武HDがホテルなどを大量売却、「身軽な経営」シフトで本当に生き残れるかPhoto:Diamond

西武ホールディングス(HD)は、ホテルやゴルフ場、スキー場など31施設をシンガポールの政府系ファンドであるGICに売却する。売却額は約1500億円、売却益は約800億円となる見通し。資産売却によって身軽になる=「アセットライト」経営へ方針転換を図り、ウィズコロナ時代に生き残りをかける。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

ホテルやゴルフ場、スキー場など
31施設を海外ファンドに売却

 西武ホールディングス(HD)は、ホテルなど31施設をシンガポールの政府系ファンドであるGICに売却する。今回の決定の背景には、新型コロナウイルス感染再拡大など経営環境が激変する中で、生き残るために資産売却に踏み切らざるを得ない危機感がある。

 西武HDは、資産売却後もホテルなど施設の運営は続ける。そうした動きを見ると、同社が資産売却によって身軽になる=「アセットライト」経営へと方針転換を図っているといえる。

 資産の売却は、基本的に財務内容の改善や収益性の向上にプラスに働く。同社がホテルなどの運営に集中することによって、事業運営の効率性向上が期待できる。

 国内外でコロナ変異株・オミクロン株の影響が深刻化し、人流や物流が寸断あるいは不安定な状況が続いている。そうした状況下、「ウィズコロナ」の経済運営に取り組む国や企業が増えている。西武HDがウィズコロナ時代において、どのように効率的なアセットライト経営を実現し、新しいビジネスモデルを作り出すことができるか注目される。