アナンス・ラマン教授アナンス・ラマン教授 (C)Kent Dayton

ハーバードビジネススクールでサプライチェーン・マネジメントを研究するアナンス・ラマン教授は、パンデミック下ではサプライチェーンにいくつかの「チョークポイント」(流れを遮断するポイント)があったと指摘する。また、これからのリーダーはサプライチェーンだけでなく、あらゆる予測不能な変化に対応しなければならない。日本企業、特に自動車産業をリードしてきた日本の自動車メーカーが業界をリードし続けるための鍵とは。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)

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パンデミック下で明らかになった
二つの「チョークポイント」

佐藤 日本の自動車メーカーはいまだ世界的な半導体不足に悩まされています。この状況から自動車メーカーのリーダーが学ぶべきことは何でしょうか。

ラマン これからのリーダーは、自社の属する業界だけではなく、他の業界のサプライチェーンについても理解する必要があることです。

 パンデミック下で明白になったのは、サプライチェーンにはいくつかの「チョークポイント」(流れを遮断するポイント)があることです。今回の例でいえば、大きなチョークポイントが二つあります。一つは半導体、もう一つが国際物流です。

 自動車メーカーの人々は自動車のサプライチェーンについてはよく理解しています。しかし、携帯電話、パソコン、ゲーム機器など、他の製品にも同じようにサプライチェーンがあることを忘れてはいけません。そして自動車のサプライチェーンの構成要素の中には、それらと競合する部分、つまり取り合いになる部分が必ずあるのです。