転職は、「決めるまで」も大切だが、次の職場にうまく定着して、機嫌良く働けるようになることが大事だ。どのようなスケールで考えるかはあなた次第だが、移民なら海を渡ってからの生活が、引っ越しなら引っ越し先での住み心地が、空の旅なら離着陸がとりわけ重要だ。

 転職の前後1カ月くらいの行動について、注意しておきたいあれこれをお伝えしよう。筆者はこれまで12回も転職してしまったが、普通の人はそう何度も転職するものではないだろうから、経験から学べる注意でもないように思う。

 転職先の職場への着任日を基準に、「転職前」と「転職後」について注意事項をそれぞれ5箇条にまとめてみた。

転職前の5箇条(1)
「確実に決まる」まで言うな

 まず、全く基本的なことだが、転職が確実に決まるまで「転職する」「辞める」との意思を勤め先に告げてはいけない。

 転職したい人の多くは、現勤務先を早く辞めたい人だし、また「辞める(かもしれない)」と言うと周囲の関心を引く。次の入社が確実になる前に転職の意思をにおわせる人がいるが、得はないし、転職が決まらなかった場合には明確な損になるのでやめた方がいい。

 転職の決定の最終局面にある人は、次の2点に気をつけてほしい。

 まず、転職後の仕事の内容や役職、経済的条件、仕事で利用できるリソースなどが明確になっているかどうかだ。転職してみて次の仕事が思っていたようにできなかったという状況は、転職の失敗原因の筆頭だと思う。相手の会社との交渉力は、転職を決めるか決めないかという時が最大なので、しっかり決めてから入社にサインすべきだ。

「細かいことは、入社してから決めましょう」という妥協は、採用される側はもちろん、採用する側にとっても良くない。