仮に、次の職場が合わないことがあるとしても、仕事の内容がしっかりしていれば人材価値は大きく落ちないので、また転職すればいい。

 もう1点気をつけたいのは、入社が「確実」になる条件だ。サイン入りのオファーレターはあるか、健康診断は条件か、リファレンス(前職、前々職の関係者などへの聞き取り)などは条件に入っているか…。次の職場が「必ず」確保できる条件を確認して、その条件を満たしてから(例えば健康診断の結果が出てから)、現職場の退職手続きに入る。

転職前の5箇条(2)
次の職場の着任日から逆算してスケジュールを立てる

 退職日と次の会社の入社日のスケジューリング、特に退職の意思を告げてからの手順については、あらかじめ計画を立てておくべきだ。

 大本の基準となるのは、次の職場の着任予定日だ。そこから逆算して日程を決めよう。退職が認められるまでの日数、仕事の引き継ぎの日数、有給休暇の消化日数――。こういった項目について、就業規則を参照しつつ、少々余裕を持たせてスケジューリングして、しかる後に上司に退職の意思を伝える。

 退職の意思を伝えるタイミングはいつでもいいが、筆者は、金曜日の夕方に近い午後をお勧めする。「転職が決まったので退職したい」と言うと、上司は理由を聞きたがるだろうし、慰留の説得をするかもしれない。また、上司の上司に相談しなければならないかもしれない。

「はい、分かりました」と話がサクサク進むとは限らない。往々にして話し合いの時間は延びるし、押し問答になりがちだ。

 そこで、金曜日の夕方に伝える良さが生きてくる。これの良いところは、適当なタイミングで「話を聞いていただいてありがとうございます。私にとっても大事な問題なので、週末にゆっくり考えます」と話を引き取ることができる点だ。

 週末には、上司は憂鬱な思いで思案するだろう。そもそもこの部下を慰留する必要があるか、慰留が成功する可能性はあるか、部下の退職理由を上司の上司にどう説明するか、仕事の後任者をどうするか…。そして、「仕方がない」と覚悟が決まる。