転職前の5箇条(4)
行き先は最終日まで告げない

 退職の意思を告げてから次の職場に移るまでの期間は、「気分のいい日々」だと申し上げた。

 ところが、人間は時に意地悪なもので、他人が気分良く過ごす状態を快く思わないことがある。辞めていく人物が次にどこに行くのかは、職場の同僚たちにとって興味の対象だ。ただ、行き先を彼らに明かすと、次の行き先の悪いうわさ話などを吹き込まれて、いい気分に水を差されることがある。

 また、悪い話をされない場合でも、具体的な行き先の名前と共に転職が嫉妬の対象になるのは面倒だ。

 加えて、行き先の会社との取引関係や競合関係によっては、転職に邪魔が入るリスクもある。例えば、競合先に転職する場合、新たに守秘義務契約にサインしないと退職を認めないし、退職金を払わない、などと会社側がごねる可能性もないとは言えない。概ね無視していいはずだが、社内では多勢に無勢でもあるので、嫌な思いすることがあるかもしれない。

「辞めて、どこに行くの?」と聞かれたら、「ご心配はありがたいのですが、私の問題なので放っておいてください。退職日には、次の連絡先をお知らせします」というくらいに答えておくといい。行き先は、誰にも言わない方がいい。

転職前の5箇条(5)
人間関係も引き継ぐ

 退職に当たって、仕事の引き継ぎを十分行うことは大事なことだ。仕事の引き継ぎについては、上司や会社任せにせず、自分で計画を立てて日程をコントロールしたい。引継書の作成や、関係先へのあいさつの日程などを十分考えておくことは必要な準備だ。

 また、退職したからといって、全ての同僚と縁を切らなければならないわけではないはずだ。同じ目的の下に一緒に働いた仲間は、人生にあって貴重な友人になり得る候補者だ。