かつて中選挙区の時代では、1つの選挙区で自民党候補者が複数立つということが常識だった。国会議員は地元に地方議員の派閥を持っていたケースも多く、誰の選挙応援をするかについては、地方議員がある程度選択できる余地があったのだ。

 ところが小選挙区制となり、1選挙区に自民党候補は1人ということが常態化する。落下傘候補として地縁・人脈のない候補者が出馬するというケースも少なく、その選挙区に地盤を持つ地方議員は縁も所縁もない候補者の選挙応援を求められることになる。つまり地方議員が国政選挙候補者を応援するインセンティブとして“金”が求められるようになったというのだ。

 筆者が取材をした元国会議員も「地方議員の力が強い選挙区では、彼らの言いなりで金を要求された。特に新人候補や選挙に弱い人間は、金を払わないと選挙応援してもらえないと考えてしまう」と証言している。

「本来は国会議員でも地元に後援会組織を作り、地道に政策と政治家としてのキャラクターを理解してもらう活動をしておけば、地方議員に頼らずとも選挙は戦えるようになるはずなのです。それが、アウトソーシング感覚で国会議員が地方議員に金を払い選挙を助けてもらうようなことを繰り返しているうちに、ますます地方議員なしでは選挙を戦えない体質になってしまったのです。言い換えれば、国会議員が本来すべきである地盤を固める仕事をしていないから、金権選挙に頼らざるを得ないようになってしまったのです。参院の二之湯智大臣、西田昌司氏も選挙は決して強いとはいえない人たちなので、同じ手法を利用していたといわれています」(府連関係者)