安定志向の高まりと
縮まる文系・理系の差
10年は「リーマンショック」に端を発する大不況により、企業の採用意欲は後退し、学生の安定志向が高まった。その結果、文系男子で1位となった三菱商事、2位三菱東京UFJ銀行、3位三井物産など、理系男子、文系男子でも大手財閥系や業界トップ企業に人気が集まった。
この頃からメディアで「リケジョ」として注目を集めた理系女子の間では、理系の素養を生かすことができ、身近な製品を扱う食品メーカー、化粧品メーカーに人気が集中する傾向が強まった。
そして20年、構造的な変革期を迎えた銀行がリストラを進め、大手メーカーも際立った技術や事業の方向性を打ち出せない状況が続く中、男女文理ともに総合商社、生損保、デベロッパーに人気が集まった。
理系男子は10年代前半まで大手電機メーカーが上位を独占してきたが、1位の三菱商事をはじめ総合商社の躍進が目立つ異例の結果となった。
理系女子も1位東京海上日動火災保険、2位三菱地所、3位伊藤忠商事と非メーカーが上位となり、文系と理系の差が見えづらい結果となった。
少子高齢化による国内マーケットの縮小、デジタル技術活用によるDX推進など、企業を取り巻く環境は加速度的に変化している。親世代と大きく前提の異なる環境でこれから企業選びを始める学生諸子には、「変化に対応し成長する企業か」を見極めることはもちろん、新卒入社をファーストキャリアと捉え「変化に対応できる市場価値の高い人材に成長する土壌があるか」という視点を踏まえたアドバイスをしてみてはいかがだろうか。