わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾#19Photo:PIXTA

私立大学の定員厳格化などを追い風に、にわかに中学受験のトレンドとなった大学付属校。だが2022年入試ではその潮目が変わった。21年に苦戦が目立った早慶の付属校が人気を立て直した一方、MARCHの付属校はこぞって受験者数を減らしたのだ。その裏で東洋・専修大学の付属校が躍進するなど、早慶以外では偏差値にとらわれない学校選びも加速している。特集『わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾』(全26回)の#19では、その背景と共に、22年入試で人気を集めた付属校に共通する、ある特徴を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

早慶と東洋・専修に人気集中で
MARCH付属は共倒れ

 ここ10年ほどの間、中学受験では「付属校ブーム」が顕著だった。

 私立大学の定員厳格化や大学入試改革が相次ぎ、大学受験の不透明感が高まっていた中、「中学入試で難関を突破しさえすれば、大学入試で厳しい競争を回避できる」点が魅力的だったからだ。

 特に高い人気を集めてきたのは、早稲田大学や慶應義塾大学、MARCHといった有名私立大学の付属校である。

 だが昨今は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「安全志向」がまん延。上位校への挑戦を避けて中堅校を手堅く狙う動きが加速し、2021年入試では早慶や明治大学の付属校が苦戦した。

 しかし、22年入試では潮目が変わり、付属校の序列に異変が生じつつある。

 早慶付属校の多くが持ち直した一方で、MARCH系が軒並み受験者数を減らしたのだ。中でも、明治大学付属明治(前年比11.9%減)や立教女学院(同13.2%減)といった学校は大きく落ち込んだ。

 代わって受験者数を伸ばしたのは、東洋大学京北(同31.6%増)や、専修大学松戸(同4.9%増)といった中堅私立大の付属校である。

 いわば、内部進学先となる私立大の偏差値が非常に高い学校と、そうでない学校に受験生が集まり、その中間に位置するMARCHが敬遠される“空洞化現象”が起きたのだ。

 こうした状況もあり、付属校全体にかつてほどの熱狂は見られない。「人気は高止まりした印象だ。受験者数は多いものの、今はそれほどブームだとはいえない」と森上教育研究所の森上展安代表は指摘する。

 付属校ブームはなぜ沈静化しつつあるのか。“空洞化現象”の要因は何か。次ページでは、付属校を巡る受験戦線の最新事情に迫る。加えて、22年入試で人気を集めた付属校に共通する特徴も明らかにする。