中学入試は受験のゴールではない。その6年後には最終目標である大学入試が控えているが、名門中学に入学できたものの学力が伸び悩む子どもは多い。しかし、小学生時代に「ある勉強法」を習得すれば、入学後にも学力が伸び続ける。特集『わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾』(全26回)の最終回では、その秘密とノウハウを明かす。(元サピックス小学部教室責任者 粟根秀史)
中学受験塾の競争激化がもたらした「副作用」
子どもの合格後の“伸び悩み”が深刻化している
中学受験の受験者数増加に伴い、塾業界内での競争も激しさを増している。
首都圏では、大手中学受験塾による「カリキュラム消化主義」や「大量演習主義」がますます過熱している。合格実績断トツのSAPIX(サピックス)に追い付け、追い越せと他の大手塾の鼻息は荒い。テキストを改訂するたびに、扱う問題は難しくなり、習う単元は前倒しとなる。ついには、カリキュラムだけを取ってみれば「難度」と「進度」だけはSAPIXを超える塾まで出てきた。
一方、関西圏でも、複数のライバル塾がしのぎを削り、生徒の争奪戦は激化の一途をたどるばかりだ。それに巻き込まれた子どもたちはメインで通う塾の他に、志望校対策はA塾で、ウェブ講座はB塾でと、塾の掛け持ちを強いられることになる。
憂うべきは、過度の詰め込み学習による子どもの“消化不良”である。これが続くと、将来の伸びる芽を摘むこととなりかねないのだ。
実は近年、中高一貫校関係者の間で深刻な問題になっているのは、入学後に成績が伸び悩む生徒が急増していることだ。特に難関校の教師たちは、「自分で判断できない子どもが年々増えている。(受験勉強によって)完全な受け身の姿勢をつくられてしまっているようだ」と口をそろえる。
この“伸び悩み”は、難関校であればあるほど、どの子どもにも起き得る問題で、「わが子なら大丈夫」という過信は禁物だ。激しい受験競争を勝ち抜いた子どもほど、その副作用は強いからだ。しかし、「ある勉強法」を実践すれば “伸び悩み”を回避できる。中学入学後も伸び続ける子どもと伸び悩む子どもの決定的な差は、「ノートの取り方」と「質問の仕方」で明確に分かるのだ。次ページから、筆者がSAPIX時代に教えてきた、その見極めのポイントを伝授しよう。