お客様とスタッフの両方に喜ばれる店しか生き残れない

――外食産業で生き残るお店の条件は何だと思いますか。

横川 逆説的ですが、「高倉町珈琲」は儲からないんです。おいしさを追求するために素材も落とさないし、居心地の良さのために投資もしているから。でもそれによってお客様を増やしてきましたし、ファンも増えています。それこそが生き残るお店の基本なのではないでしょうか

 外食では、お客様はもちろん、働いている人を笑顔にできてこそ、いい店だと思います。先日、あるスタッフが「『おじいちゃんの働いているお店、いいね』と孫から言われた」と嬉しそうに話してくれましたが、家族や友人に評価される店をつくることが経営者の使命です。それが働く人のやる気につながります。楽しく働いていると、友達や知り合いを紹介してくれるんですね。採用コストも下げられますし、ありがたい話です。

有本 労働人口が減少しているなか、採用した人材を一人前に育てる必要があります。『全員を戦力にする人財育成術』にもあげましたが、企業経営者は教育と評価の両方を回し、人の成長を考えていってほしいものです。