店長が疲弊していたら、いいサービスなどできるわけがない

――ジョナサンは80年代、90年代と急成長を遂げました。当時、横川さんは「店長に好きにやらせておくと、その地域のお客様にあった企画を考え、それが客数の増加につながった」とおっしゃっていましたね。

横川 ジョナサン時代の話ですね。チェーン店ですから、守るべき枠があるのですが、マニュアルに書かれていることだけやっていれば、それだけの店で終わってしまいます。枠のなかで、どうすればお客様に喜んでもらえるかを考えて企画する。こうしてお客様がその店のファンになってくださるのです。

 お客様というのは、決められたことをきちんとやってミスをすると手厳しいのですが、新しいことをやって失敗したときは、もちろんお叱りになるのですが、またお店に来てくださいます。そういう積みかさねで、来客数や売上げの増加につながります。だから、本部がああしろ、こうしろというより、店長に好きにさせていた方が売上げが上がるというわけです。

 また、店長のレベルアップには、ほかの店の店長の存在が大きいんですよ。新しい施策をすぐにやる人もいれば、なかなかやらない人もいます。ところが、他の店長が成果を出していれば、その店長もすぐに心を入れ替えて取り組むようになります。そういう切磋琢磨の雰囲気をつくるのも経営者の役割ですね。

有本 自分自身の経験からいっても、他の店長と話をすると気づきが得られましたね。店長は忙しく、他のお店の店長と話す機会もそうそうはありませんから、集合研修は場づくりとしても有効だと考えています。

横川 ちょっと格好をつけてしまいますが、これからの外食はお客様はもちろん、働く人も喜ぶ、そんな産業に進化させていかなければいけないと思います。店長が残業続きで疲弊していた状態では、お客様に喜んでもらえるサービスなんてできませんよ。

 働く人を大事にしてこそ、いいお店になると考えています。その一つとして、長期的に働いているパートの方も株を購入できる制度をつくりました。みんなで頑張って業績を上げれば、配当がもらえるわけですから、やる気も上がりますよね。