アフターコロナで深刻化するサービス業の人手不足 今から準備しておく対策とは?Photo: Adobe Stock

サービス産業では、人手不足対策へのかじ取りが始まっている。アフターコロナになれば、人手不足になるのが確実視されるためだ。実際、コロナ感染者が減少した21年秋には、求人を出しても人が採れず、店の予約を受けられなかったり、営業時間を短縮するなどして機会損失が発生したケースもあった。人手不足時代に向けて、今からどんな準備をすべきか。若年層のアルバイト事情に詳しい、ツナグ働き方研究所の平賀充記所長と、ホスピタリティ&グローイング・ジャパンの有本均会長が、今行うべき人手不足対策について、持論を展開する。(聞き手・構成/ダイヤモンド社・大坪稚子/撮影:大崎えりや)

アルバイトが応募する際に重視するポイントとは?

――オミクロン株について楽観はできないものの、飲食業界では「求人を出しても、採りたい人が採れない」という声が聞こえてきました。

平賀充記(以下、平賀) 職種別の求人倍率でみると、コロナ禍前の19年10月では「接客・給仕の職業」の求人倍率が3.79。20年10月は1.75だったので、コロナ禍で求人がほぼ半減しました。感染者数が減少した21年10月には1.95に戻しましたが、感染者が減少すれば求人も増えるのは、統計からも見て取れます。感染者の数がピークアウトすれば、再び外食産業は人手不足になるとみられています。

 注意していただきたいのは、若者の意識変化です。現に、アルバイト先としても、飲食業より小売業のほうが高い人気となっています。ツナグ働き方研究所の「2021年アルバイト採用ブランド力調査」では1位がダイソー、2位がセリア、3位が無印食品でした。このアンケートで「アルバイトを選ぶ際、重視すること」を聞いたところ、「安全」、「場所」、「時間」が上位を占めました。安全が場所より上位に来たのは、コロナ禍を反映しているといえるでしょう。飲食店はお客様のためにはもちろん、スタッフに対しても感染リスクをきちんと行わないと、アルバイト先として選ばれないという時代になったのです。

有本均(以下、有本) 危惧しているのは、仕事としてまたは就職先として、飲食業界を選ぶ人が減るのはないか、という点です。コロナのようなことが起きると、飲食などのサービス業は壊滅的な打撃を受けるということを目の当たりにしてしまったわけですから。たとえ本人がやりたいと思っても、親や周囲に「やめたほうがいい」と反対されることもあるでしょう。