再びR探偵社から依頼
マンション住民の調査に

 金塊の件から数カ月後、R探偵社の飯岡氏から共同調査を依頼したいと連絡がありました。私は金塊案件で不信感を抱いていましたが、むげに断るわけにもいかず悩みました。案件内容は住宅街にあるマンションの住民の身元と素行調査。私もこういった案件は何度か対応したことがあり、マンションのオーナーや、そのオーナーの会社や施工業者なども調べて問題がなさそうだったので、引き受けることにしました。

 マンションオーナーの井内氏から、数週間前に入居した住民宅に多数の男女が出入りしている。家族や友人が遊びに来ているにしてもワンルームマンションのため様子がおかしい。住民がどういった人物なのか、身元と素行を調査してもらいたいというものでした。

 マンションのエントランスと指定の部屋の出入りも容易に監視できることから、難しい調査ではないだろうと思っていました。しかし、いざ調査を始めてみると、初日から異様な状況に不気味さを感じました。

 初日は出入りする人物の情報を集めるため、全ての人物を撮影することにしました。10時間の調査では16人の人物の出入りがありました。出入りした複数の男女は年齢も20~60代とバラバラで、半分は外国人と見受けられました。

 人物像には共通点は見当たらず、明らかに異様な状況でした。出入りする人物に唯一共通するのは全員がヴィトンのセカンドバッグだけを持っている点でしたが、それも異様度合いを高めていました。

 調査は2日目を迎え、R探偵社と手分けして、部屋から出てくる人物の素行調査にかかりました。部屋から出てくる人物を可能な限り尾行調査し、6人の素行調査ができました。飯岡氏の調査力があったればこその成果でした。その結果、全員が同じ行動を取っていたことが分かったのです。