未来はどう作るのか?
文学や芸術で反戦を訴える

 半年前に訪れたモスクワでは、コロナ後の国際交流を語り合った。国と国が自由に往来できる日に向けて、子どもの教育環境をどう整えていくべきかを真剣に考えた。この記事は、本当ならコロナに負けないロシアの様子をレポートするものだった。

2021年9月からロシアは何が変わったのか?モスクワの全ロシア外国文献図書館と、発表展覧会の様子

「新美南吉のお話『てぶくろをかいに』絵本表紙コンクール」には、ウクライナから30作品の応募があった。そのうちの1作品は、戦火の中にあるオデッサ市に住むグロゾヴァ・ターシャさん16歳からの応募作品で、子どもの本のノーベル賞と呼ばれる国際アンデルセン賞を受賞したロシアのイラストレーター、イーゴリ・オレイニコフさんの冠賞を受賞している。

 国際交流基金モスクワ日本文化センターと全ロシア国立外国文献図書館が取り組んだプロジェクトは、文学で多文化や多様性を理解する国を超えた信頼関係の構築と平和への願いで溢れていた。その想いは今も変わっていない。

2021年9月からロシアは何が変わったのか?東京都中野区中野東図書館で開催中のコンクール入賞作品展

 9月のモスクワ訪問時で、同じ絵を見た若いロシア人ボランティアたちは、今何を思っているのだろうか。彼らのような次世代を、ソビエト時代の強権的で権威主義的な価値観に、絶対引き戻してはならない。

 日本で今すべきことは、諦めずにロシアのプーチン政権にウクライナへの攻撃中止を呼びかけること、戦争という最も愚かな大人の行動でロシアやウクライナの若者や子どもたちの希望を失わせない平和へのメッセージを発信しつづけることだ。平和を願う言葉や文学、芸術には、武力よりも強力なパワーがあることを信じている。