NISSIN ACADEMY(企業内大学)の卒業生がメンターとなり、ヨコ・ナナメの関係で1on1を実施
日清食品ホールディングスがこの2年で経験した変化は、もう一つあります。それは、「学習サイクルを回す」ことの実践です。
「自発的に学習することを習慣化させたい、という狙いで“NISSIN ACADEMY”という企業内大学を立ち上げました。マーケティング・アカデミー、セールス・アカデミー、SCM(サプライチェーンマネジメント)アカデミー、経営者アカデミーなど、ビジネスの専門性とリーダーシップを磨く場です」(池田さん)
これだけでも積極的な取り組みですが、その先に1on1が関わってきます。
「そこからの派生として、NISSIN ACADEMYを卒業した人がメンターとなって、新入社員や若手社員とヨコ・ナナメのつながりで1on1を行っています。他部門のマネジャーとアカデミー卒業生というようなつながりでの1on1もあります。1on1の対象を広げるというイメージですね」
これは、一般的な1on1のあり方と比べると、まさにアドバンス版といえるでしょう。タテの関係からヨコ、ナナメに対話を広げ、「心理的安全性の確保」をベースにしながら、その先の学習促進を実践しているわけです。タテ、ヨコ、ナナメの対話が、メンバーをさらなる成長に導いている、といえそうです。
このような取り組みによって、メンバーの意識も高まっているといいます。日清食品ホールディングスの人事部が主導して行うアンケートによれば、「自部署はチャレンジを推奨し、個々が能力を発揮しやすい環境か?」という問いに対し、ポジティブと回答したスコアが、2019年と比べて2021年は全体で4.7ポイント、日清食品の営業部門のみで12.1ポイントも増えたといいます。
また、「成長実感が得られている」という結果も出ています。これも2019年と2021年との比較ですが、「この会社で働くことで成長を実感できているか」という質問に対して、全体では1.1ポイントアップ、営業部門だけを見ると6.4ポイントアップ。また、「上司との関係の質は向上したか」という質問では全体で2.7ポイントアップ。さらに、「上司が、達成したいい仕事をきちんと認めてくれているか?」という質問では、同じく全体で4.2ポイントアップしています。
1on1を継続実施することによって、上司・部下間の関係の質が向上するとともに、成長実感も増していることを示す結果です。