社員にも職務充実を工夫するような教育が必要

 ある職場でのことだが、来店した客がレジに持ってくる商品と引き換えに代金をもらうだけの単調な仕事に嫌気が差し、「こんな生活がずっと続くなんて耐えられない」と思っていた人が、商品研究に熱心な人にヒントを得て、商品である紅茶について勉強し、うんちくを語れるようになることで、お客との会話が楽しくなり、仕事から充実感が得られるようになったという事例もある。退屈な仕事が楽しい仕事に変わったのだ。

職場の“人事心理学”榎本博明『職場の“人事心理学”』(労務行政)

 そうした工夫を促すべく、職務充実のあり方を体得させる教育的働きかけを研修などで行っておく必要もあるだろう。

 仕事で成功する人は、どんな仕事も楽しめる能力を持っている。それは、仕事を複雑化したり、仕事に意味を与えたりする能力と言える。仕事はラクであればいいというのではなく、ある程度のチャレンジ性がないと楽しめないのである。

 中には自信がなく、仕事を任されることに強い不安を覚える人もいるが、サポート体制さえしっかりと整えれば、誰でも単調な仕事より充実した仕事によってモチベーションが上がるはずである。