腰痛の多くは、基礎疾患や障害が原因ではありません。それよりもむしろ、原因は主要な筋肉の使いすぎや主要な筋肉を酷使することで引き起こされる、他の筋肉の衰弱が原因となっていると言っていいでしょう。

スクワット」や「デッドリフト」を崩れたフォームでしてしまっていたり、座って仕事をしているときに常に腰が丸まっていたりしてしまうと、腰痛に陥りやすい状態にあると言えます。また、ストレスや体重管理不足など、その他の要因も問題を悪化させる可能性が十二分にあるのです。

 これらの問題を回避するためのポイントとなるのが、腰の可動性と筋力です。この両方を鍛えることが必要となります。

「筋肉の強度」と
「モビリティ(筋肉の柔軟性と関節の可動域の広さ)」の
バランス強化の重要性

 腰痛を軽減するには、背骨にかかる負担を軽減するために腰の筋肉を強くすることが重要になります。また、腰を取り囲む体幹の筋肉も強く、バランスがとれていることが必要ですが、長時間座っている機会が多いとこの筋力が失われがちになるわけです。

 つまり長時間座っていると、背骨の伸展筋と大臀筋は弱くなってしまいがちです。この2つの筋肉は、立っているときに腰を支える重要な筋肉群なのです。けれども、体幹を鍛えることだけが腰痛の回避や、緩和するポイントではありません。そこには、「モビリティ」トレーニングも必要となります。

 腰の筋肉は腰を曲げたり、「デッドリフト」のように後ろに反らせたり、身体をひねったりと、さまざまな動きの主要な推進力にもなります。これらの動作を丁寧に、意識して行うことが腰痛の解消につながります。

まずは「モビリティ」から始めましょう

 モビリティとは、「可動域を最大限に使って関節を動かす能力」と広く定義でき、さまざまリハビリプログラムのスタート地点となるべきもので、筋肉の緊張をほぐして痛みを和らげてくれること期待できるものです。

 これを行う際には、胸椎(きょうつい=脊椎<けいこつ=背骨>における上部7つの頚椎<けいつい>から下部5つの腰椎<ようつい>までの間にある、12対の肋骨に接続している12からなる脊椎の中間部)、腰椎、そして股関節の3つの領域にフォーカスしてください。