防御だけではない反撃の一手

 さらに、大手電機メーカーの業績低迷などでリストラを余儀なくされた技術者をスカウトし、PB(プライベートブランド)商品の開発も進めています。実際、電機メーカーで産業機械開発に携わっていた技術者が手掛けたPBのベビーカーは、UV遮断、指挟み防止フレーム、5点式シートベルトなどの安全性・快適性がウリで、税抜2千円台からというリーズナブルな価格も支持され、一気に売れ筋商品となりました。

 同社は今後も高機能低価格のPBを多数投入していく予定ですが、決して商品数を拡大していくわけではなく、商品数を絞り込むことで競合との差別化と、死に筋商品の排除を図っていく考えです。独自の防御戦法によって、同社は単なるベビー用品小売店から、製造小売業(SPA)に変革を遂げたのです。

「攻撃」はたしかに一見勇ましいし、カッコもいい。それに比べれば「防御」は地味に見えることも多いですよね。だからこそ、私たちはそうした自身の感覚や感情に左右されることなく、戦略としての「攻撃」と「防御」をともに冷徹な目で評価することが必要となるのです。