野村證券野村HDは負の遺産を一掃したと息巻いているが、足元の市況は悪化している Photo by Satoru Okada

国内主要証券会社5社の2022年3月期通期決算が出そろった。前年同期比でおおむね減収減益だった。戦争と米国の急速な利上げという未曽有の状況で、先行きは見通しにくい。国内個人営業の改革も道半ばだが、不安定な市況にどこまで耐えられるだろうか。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

戦争、米国利上げで揺さぶられる業績
米アルケゴスとの取引も減益の要因に

 現代とは思えない残虐な様相を呈する戦争と、米国による急速な利上げが、証券各社の業績を揺さぶり始めた。

 国内証券主要5社の、2022年3月期通期決算が5月に出そろった。最大手の野村ホールディングス(HD)は前年同期比でおおむね横ばい。減益幅の大きい三菱UFJ証券HDは、21年3月に債務不履行となった米国のファミリーオフィスであるアルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引の影響で、第1四半期に141億円の当期純損失を計上したことが響いた。野村も21年3月期第4四半期、22年3月期第1四半期に同様の理由で多額の損失を計上している。

 各社は22年第3四半期、すなわち昨年末まではおおむね順調に利益を積み上げたが、年明け以降のロシアによるウクライナ侵攻に伴う地政学リスクの顕在化と、米国の金利引き上げ観測による株価の急落で、第4四半期は5社のうち4社の当期純利益が減少した。

 異例の状況で迎えた23年3月期を、各社はどのように戦い抜こうとしているのだろうか。