野村ホールディングスは2021年4~9月期決算で、純利益が前年同期比75%減の517億円に沈んだ。競合他社の業績が堅調な中、減益幅で独り負けの決算を読み解くと、野村が抱える二大リスクが見えてくる。特集『決算書100本ノック! 2021冬』(全16回)の最終回は、そのリスクの中身を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
証券業界最大手の野村を襲った
偶発的な損失“爆弾”の破壊力
「一体どれほどの爆弾を抱えているのか」――。野村ホールディングスの最新決算は、市場関係者をそう驚愕させるのに十分なインパクトをもたらした。
その最大の理由は、米国で相次いだ巨額損失にある。
野村は今年3月、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとみられる顧客との取引で、損失計上の可能性があると公表。2021年4~6月期までの最終的な損失額は3000億円以上に上った。
さらに7~9月期は、別の“爆弾”が炸裂する。米国で法的費用の引き当てとして390億円を新たに計上したのだ。訴訟の中身は明らかにしていないが、10年以上前の取引に関わる案件だという。
この引き当ては、グローバル金融機関の野村が抱えるリスクを、改めて認識せざるを得ないものとなった。なぜなら、さらなる巨額損失が発生しかねない爆弾を、野村は全世界で抱えているからだ。
次ページでは野村が抱える爆弾の金額が、一体どれほどの規模に上るかを明らかにする。それはすなわち、金融機関の隠れたリスクを決算書から見つけ出す際の参考になるはずだ。