10人に1人という左利き。自身も左利きで、『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』著者の加藤俊徳医師によると、左利きには「ひらめき」や「独創性」など、右利きにない様々な才能があるそうです。実際、左利きとして知られる有名人の中には、他にはない天才性を見せている人も多くいます。
そこで、加藤先生が各界で活躍する「すごい左利き」の才能を深掘りする新企画【すごい左利きファイル】をスタート。第二回に登場するのは、アイドルグループ・SKE48のメンバーとして人気の須田亜香里さんです。
全3回でお届けする須田さんへのインタビュー。本記事では須田さんの秘めたる才能、そしてそれを覚醒させる方法をお届けします。(構成:山本奈緒子)

SKE48須田亜香里の能力を開花させた「とりあえずメモ書き」とは?Photo: Adobe Stock

左利きの才能を発揮!
須田亜香里の「書く」技術

加藤俊徳先生(以下、加藤):お話をしてみて、須田さんが自分の能力をのびのびと発揮されてきたことがわかりました。できれば日常の出来事や思ったことを、ただ話すだけでなくライティングしたら、もっと須田さんの良さが磨かれてくると思います。

須田亜香里(以下、須田):ライティングですか! 実は書くお仕事を8年ぐらいやらせてもらっているんですけど、すごく大変なんです。国語力がないゆえの苦労もあるんですけど、それ以上に文章の構成が大変で。

 文章が上手な人は、「書きたいな」と思うことを思い浮かべて、そこから構成を考えて、それに合わせてザーッと書いていくんでしょうけど、私はそれができないんです。だから最近は、自分の中で気になっているテーマをバーッと書き出して、その中から言葉にできそうなものを選ぶ、というやり方を取っていて。で、今度はそのテーマに関して思ったことをまたバーッと箇条書きにして、それを一個ずつ膨らませてから順序を変えて組み立てる。そういう書き方をしています。

 効率は悪いけど、とりあえず自分が思っていることを自分の中から外に出さなきゃ!という感じなんですよね。

加藤:実は僕も全く同じやり方で文章を書いています。僕も学生時代は国語が一番苦手だったので、「どうやって文章を書こう?」と思ったときに、須田さんと同じようにとりあえず自分の中にあることをメモ書きにして、いざ書くときにそれを全部集めて並べ替えて……と、同じようにやっていましたね。

須田:この書き方は、文章を書くのが下手な人の書き方だと思って私の中でコンプレックスになっていたんですけど、先生も同じなら間違っていなかったんですね!

加藤:手前味噌だけど、多分僕たちは、文章を組み立てるより先にアイディアが溢れ出てきてしまって、組み立てるのが追い付かないんじゃないかと思います。

 ある意味特別な能力だと思うから、僕は20代30代の頃から、日常的に思い浮かんだことを徹底的にメモ書きして脳の研究につなげてきたんですよ。研究だけじゃなくて、自分の本を作るときも同じやり方をしたら、それがベストセラーになった。須田さんも今のやり方を続けていたら、きっとベストセラーが書けると思いますよ。

須田:うわー! 先生に続けるよう頑張ります。

左利きが得意とするアウトプット法

加藤:今はただ、書き出した事柄を並べ替えているだけだと思うんですね。でもそれを続けていると、だんだんと一つの行き先、目的に向かって上手に積み上げられるようになりますから。

 左利きの人って脳の感覚野が発達していることもあって、どうしても、今のこの瞬間、刹那的に生きる傾向がある。だから目的に向かって積み上げる、という作業が苦手なんですよ。でも自分の中にあるものを文章にまとめるとなると、その積み上げ作業が必要ですから、ちょっと訓練が必要になる。だから書くお仕事は絶対続けたほうがいいと思いますよ。

須田:私の中ではかなり大変だなと思うお仕事なんですけど……。

加藤:文章を書くのが得意だと思っている人は、「どうしてそんなにバラけるの?」と思うんでしょうけど、それは逆にバラすことができない、ということでもあります。自分の思いが自分の中でもう文章として完成してしまっていて、それをアウトプットするから、誰もが読みたい文章とはちょっと違ってくる。

 でも須田さんは、須田さんの脳みそを通してアウトプットされた情報を配列し直している。誰もが分かりやすいように噛み砕いて配列している、ということでもあるんです。

須田:私の頭の中で一回、めちゃくちゃ噛み砕かれているんですね!

加藤:それは非常にレアな能力。だから須田さんのコメントには影響力があって、コメンテーターのお仕事や書くお仕事のオファーが多いのも、そういうワケだと思いますよ。

須田亜香里を唯一無二の存在にしている
「アイデアノート」とは?

須田:実は私、思ったことを書き殴るノートをいつも持ち歩いていて。それもトレーニングになるんですか?

加藤:むしろそれが大事です。左利きの人はアイディア力や直感力が高い傾向にあって、いろんなことがふっと湧いてくるところがあるんです。おそらく須田さんもそういうタイプだと感じたのですが、ただ、それを形に残しておかないとどんどん消えていってしまいます。だから絶えず書いて残すということはすごく大事。

須田:書いているのは感情とか感覚的なことが多いんですけど、起こった出来事とかも書いたほうがいいんですか?

加藤:感情、感覚を書くのはもちろん良いですが、起こった出来事もいい。そうすれば、いつの自分がそれに気づいたかとか、それを思い浮かべたかとか、そういったことも思い出せますから。そしてそれらを集めて眺めると、自分自身というものがもっとよく分かってくると思いますよ。

須田:ノートはもう8年ぐらい前から続けていて、6冊目ぐらいに入るんです。

加藤:続けていけば自己実現といいますか、他の人にはない自分の良さを見つけて外に出していけるようになると思います。左利きの人はどうしても左右両方の脳を使う割合が高いので、自分の気持ちが人類とか周囲全体とか広くなりやすいんですね。そのため自分個人の気持ちが置きざりになるところがあるので、そうやって自分のことをメモしていると、自分らしさが分かってとてもいいんです。

 とくにアイドルという、まわりからの影響をすごく受けるお仕事をされているので、自分の軸をコントロールすることは大切。そのノートは絶対に続けたほうがいいと思います。

須田:続けます!